「まだ31歳でしょ?失敗しても全然平気だよ」
僕は昼にしゃぶしゃぶを食べながらビールをゴクゴク飲む68歳のオジサンにこう言われた。
こんにちは、タクヤ(@takudaipare)です。
昨日、あるオジサンとランチをする機会があり、色々仕事の話や、彼のプライベートの話、昔話を3時間ほど話をさせてもらっていました。
68歳にしては、いわゆるオジサンという表現よりも、ちょい悪おやじという言い方のが合っているかもしれないほど、着ている服も気持ちも若く、31歳の若造の僕が思わず、
「ほんといくつになっても男の子なんですね!」
とつい言ってしまうほど、若々しい人でした。
親父がオヤジをナンパ
まず、どうやってその68歳のオジサンと知り合ったかと言うと、僕の親父が仕事中たまたま公園のトイレに寄った時から始まりました。
トイレを済まし、パッと公園の方を見ると、1人の小洒落た格好をしたオジサンがドローンを操縦しているのを見つけました。
僕の親父もドローンが好きだったというのと、同じ年代でオシャレな服装をしていたから、気になって声をかけました。
普段は、めったにそうやって誰か知らない人に声をかけるタイプではなかった親父がその時は何か気になったそうです。
「僕の息子もドローン持っていて操縦しているんですよ」
「これこないだ撮った映像です」
と2人で少しの間だったけど、話が盛り上がり、
「ぜひウチの息子と会ってやってください」
こう親父がオジサンに頼み、連絡先を僕に教えてくれました。
僕自身もこの話を聞いた時に、何故か無視できない気分になりました。
それは義務感を感じるとかではなく、単純にそのオジサンが気になっていました。
水中カメラマンからダンボール拾いまで堕ちる
話は戻り、しゃぶしゃぶ屋さんにて。
どうやら話を聞くと、オジサンは昔水中カメラマンをやっていたらしく、世界中の色々な海を潜っては魚や水中の写真を撮っていました。
1番聞いて驚いたのが、アメリカのマイアミの海の底にあるキリスト像の写真を日本人で初めて撮影した人という話でした。
「ただ者じゃない…」
その後しばらくは水中カメラマンを続けていたのですが、重なる病気により、水中カメラマンを引退することになりました。
そしてここからが話のスピードが早まるのですが、カメラマンで稼いだお金で建てた家を超高額で売却し、奥さんとも離婚、慰謝料で数千万支払ったりと、めまぐるしく状況が変わってきました。
当時38歳頃。
それでもまだまだお金はあるから、じゃぶじゃぶ使いまくった結果、銀行や消費者金融から借金をするところまでいきました。
家には払えるお金がないのに、ドラマのごとく、取り立てがくる。
「どんどん!いるんだろ!」
普通、ドラマや映画では怯えながら居留守を使うシーンですが、このオジサンは、
「なんだよ!俺じゃないよ!知らないよ!」
と、他人のふりをして、なんなら借金取り立ての事務所にまで行き、
「俺はそのお金借りたやつじゃない!どうなってるんだ!寝られないじゃないか!」
とハッタリをぶちかまして難を逃れたこともあったそうです。
(普通考えられないよ、その状況…笑)
その後もやっと生きていくのに必死で、毎日、日雇い労働をしながらその日暮らしをしていました。
3年半も。
一緒に台東区などでダンボール拾いをしていた当時50過ぎの別のオッサンと鍋でラーメンを作ってシェアしていたが、そのオッサンもお腹空いているだろうに、それでも2/3を自分にくれて、
「お前はまだ若いんだ、食え!」
とオッサンの優しさに触れながら、2人で頑張って働いてたエピソードもありました。
42歳頃から、友人の仕事を手伝うようになり、今までは日雇いで日当8,000円だったのが、2時間で24,000円貰えるようになり、その依頼が続くようになりました。
そのうち水道関係の仕事なんて知識もなかったにも関わらず、ハッタリをかまし、友達に頼まれたとき、
「うん、できるよ」
とその場ではウソをつきました。
必死で帳尻を合わせるために別の友達から水道周りの知識を勉強し、いつしか会社を設立するようになるまで成長していました。
ここまで聞いただけでも、めちゃくちゃ上昇志向の強い人だというのが分かりました。
現に、あれだけ大金を持っていた過去から、ほぼホームレス状態になったのにも関わらず、ドロップアウトする気もなかったそうです。
かといって『絶対に金を稼いで金持ちになってやる!』という成り上がり精神も持ってはいなかったらしく、
僕自身はこの時には既にこのオジサンが好きになっていました。
後でオジサンの言ってたことをまとめたら、結局この人も
「目の前の仕事を全力でやる」
「誰かのために頑張る」
この2つの目的がありました。
結局人との繋がりが1番大事
オジサンはその後も新事業を立ち上げ、会社も軌道に乗り、「社員全員に社会保険をつけることもできた!」と嬉しそうに話してくれました。
最初の話に戻りますが、何故そのオジサンはドローンを操縦していたかというと、彼自身海が大好きで、マリンスポーツも好きで、SUPボード(ボードの上になって漕ぐやつ)や、ボート、釣りとかも趣味でやるらしく、またSUPボードの体験コースのインストラクターなどもやっていて幅広い活動をしています。
その様子を撮影したり、マリンスポーツの大会などの撮影もしているのです。
何台もドローンやカメラを海に落としているそうです…考えただけで血の気が引く…
現在は、体の健康状態から社長職を離れ、会長職に就いていて、週2で仕事、週2は都内でランチ会、週1でゴルフコンペと中々精力的に動いています。
会話の中で、オジサンに僕の仕事の話、やりたいこと、ビジョンなどを話したら、
「結局何をやるにも人との繋がりだし、今回こうやってせっかく出会えたんだ、知り合いや友達はたくさんいるから話をしておくよ」
とわざわざこんな若造のために動いてくれるとあって、本当感謝の気持ちしかないです。
次会ってくれる機会も作ってくれる流れにもなり、帰り際、解散する前に
「あの、今度大人の遊びを教えてください!」
とつい言ってしまえるほど、若者に対しても真っ正面から目を見て話してくれるオジサンに惚れていました。
人は出会いで変わると信じてる
僕は今回、どんな人かも分からずに会いに行って、結果、オジサンの生きてきた人生や苦労、楽しかったこと、男のロマンなどを聞くことができました。
普段の生活では触れ合えることもない世界の人だったし、こんな自分の息子よりも若い若造にわざわざ時間を作ってくれて、ご飯までご馳走してくれましたが、
はっきり言って、オジサンには何のメリットもなかったはずです。
僕自身も自分の都合で人の時間を奪っている意識はありました。
でも、そのオジサンは嫌な顔せず、若造の話を真剣に聞いてくれました。
こんな機会中々ないと思います。若い世代は特にそういった上の世代と遊ぶこともないし。
人が何か変わる瞬間は、必ず人との出会いから始まっています。
僕は今までもそうだったし、今回もそうなのかもしれません。
たまたま自分の親父が声をかけた、その瞬間から人生はまた少し変わったのです。
何だかよく分からないけど、もしあなた自身の頭の中で、会ってみたい人がいるのであれば、会うべきです。
ただ、私欲は持たないこと。これは絶対です。
人の欲は簡単に他人に伝わります。